2011年 クレマチスの会


第23回 クレマチスの会 テーマ
<大切な方>を失ったあなたに
(喪失を乗りこえて、豊かに生きる為に)


開催日 平成23年2月26日(土)
講師 鈴木剛子(すずきよしこ)

〈講師プロフィール〉
グリーフ・カウンセリング・センター代表
グリーフ・カウンセラー
東京生と死を考える会会員
日本スピリチュアル・ケア研究会会員
NPOホームケアエクスパーツ協会会員
日本自殺予防学会会員
International Work Group on Death, Dying, & Bereavement会員
GCC講座専任講師、麗澤大学コミュニティ・カレッジ講師
国際基督教大学卒
ボッテガ・ヴェネタ・ジャパン、モスキーノ・ジャパンの代表取締役歴任
33年間連れ添った夫との死別。それがきっかけとなり、
死生学とビリーブメント(死別による喪失の学問)に
興味を持ち、独学でその分野の研究を始める。
上智大学デーケン教授に師事。
カナダのウェスタン・オンタリオ大学
キングズ・ユニバーシティ・カレッジに留学。
帰国後は、グリーフ関連の著述、書籍翻訳、
講演活動に従事。
2006年4月グリーフ・カウンセリング・センター設立。
 
〈担当より〉
自死遺族はグリーフを抱いておりますが、
自死そのこと自体に社会に偏見があるため、
悲しみを言えない社会的環境があります。
辛い気持ちをしっかり出すことができないのです。
鈴木先生はグリーフ・カウンセリング活動を
なされておられるとともに、喪失とグリーフについて
すぐれた解説書であるニーメヤー著
「<大切なもの>を失ったあなたに」を始め
グリーフ関連の翻訳をなされておられます。
豊富な人生経験に裏付けされたグリーフのお話を
お聞きできると思います。
グリーフについて正しい知識を持つことにより、
悲しみを言える社会環境づくり、
互いに支えあえる社会づくりにつなげたいものです。



24回 クレマチスの会 テーマ


『グリーフケア・サポートプラザの活動と

スピリチュアリティ』

~わたしたちの活動は「スピリチュアル・ケア」
 そのものです~


開催日 平成23年4月16日(土)
講師 加藤勇三(かとうゆうぞう)


〈講師プロフィール〉

    現グリーフケア・サポートプラザ副理事長、
    北千住旭クリニック心理カウンセラー、
    宗教法人世田谷キリスト教会責任役員・教会学校校長、
    日本連合キリスト教共励会理事長、
    国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター理事、前所長。

    1962年3月 東京教育大学(現筑波大学)心理学科卒、
    民間製造業で 総務、人事・海外人事部長の仕事をする中で、
    妻の難病に遭遇して今何が大切かに気づき退職、
    妻のターミナルを安らかに過ごしたいと思い、妻の許しを得て
    東洋英和女学院大学大学院で平山正実教授の下で死生学を学ぶ。
    いま、電話で死にたいとその気持を口で語ってくださる、言葉を聴き、
    また、大切な人を自死で失って、生きことが辛くなっている自死者遺族の、
    勇気を持って口に出して下さった辛い言葉を聴くことの大切さを、
    グリーフケア・サポートプラザの電話相談員に伝える仕事をしています

 

〈講師よりのひと言〉

    昨夏 道の奥を訪ねた折に、ある農家の方が
    『「寒さの夏はおろおろ歩き」と 賢治は歌っていますが、今年は、
     「暑さの夏はおろおろ歩き」ですよ・・・でも不思議ですね、
     収入は半分以下になっても、食べて、生きていけるのですね。
     独りでは生きていけないけれど隣の人が助けてくれるから』
    と語ってくれました。


    人間という動物はもともと弱く、独りでは生きてはいけない
    動物だと思います。哺乳類で一番長く親離れが出来ない、
    他者の保護を必要とする弱い動物です。
    ところが、「コギトエルゴサム=我思う由に我あり」と
    人間の知恵が膨らんで、近代化が何時の間にか人を頭でっかちにして、
    私は独りでも生きていける、それがいいことだと勘違いしてしまいました。
    実はそれが、人の孤立化を生み、人間同志の「絆」を 弱くして
    しまったのです。


    ひとは独りでは生きていけない、
    「喜ぶものと共に喜び、泣くものと共に泣く」、
    このことを、自死者遺族と共に、 「言葉」という道具を使って
    行うことが、 グリーフケア・サポートプラザの仕事だと私は思います。
    「言葉による癒し」これは正しく「スピリチュアル・ケア」だと
    私は思っています。



第25回 クレマチスの会 テーマ
『自死遺族の方から学んだこと』


日時 2011年6月25日(土)午後6時30分~8時30分
講師 平山正実(ひらやま まさみ)


〈講師プロフィール〉

精神科医。医学博士
自治医科大学、東洋英和女学院大学大学院を経て現在、
聖学院大学大学院教授。北千住旭クリニック院長。
1993年に東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科に
死生学のコースが開設された際、精神医学と死生学を講義し、
日本における死生学の基礎をつくる。
「死生学とは何か」(日本評論社)において明らかにした
死別による悲歎の7過程は全国的に有名。
自死遺族の喪失問題に取り組み、グリーフケア・サポートプラザや
自死遺族ケア団体全国ネットを設立し、全国に先駆けて、
自死遺族支援活動を実践。
「身近な死の経験に学ぶ」(共編:春秋社)
「死生学とはなにか」(日本評論社)
「ケアの生命倫理」(共編:日本評論社)
「心の病気の治療がわかる本」(法研)
「生と死の看護論」(共著:メディカルフレンド社)
「燃えつきない癌看護」(共著:医学書院) 、
「人生の危機における人間像」(聖学院大学出版会)、
「はじまりの死生学」(春秋社)など
生と死に関する著書多数。
文学についての造詣も深い。



 〈担当より〉

平山先生は死別体験者における悲嘆分析の日本における第一人者です。
同時に、臨床を通して、自死遺族の苦しみに共感され、
自死遺族支援活動をされてこられました。
現在、「自死者の名誉回復宣言」の発表や、自死遺族の
二次的被害防止などの全国的な呼びかけ活動を行なって
おられています。
これまでの
クレマチスの会における平山先生の講演は、
「ムンクにおける生と死」(平成18年9月)、
「宮沢賢治の妹との交流を通じてみる生と死」(平成19年4月)、
「泉鏡花と太宰治の死生観」(平成19年6月)、
死別体験とスピリチュアリティ」(平成21年4月)
などがあります。
今回の講演は、自死遺族の心理、悲しみの過程、二次的被害等
全てをご存じであり、長年、自死遺族支援を実践されるとともに、
自死遺族が集う「場」を提供されてこられた平山先生による

『自死遺族の方から学んだこと』です。
是非とも、お聞きくださるようお願いします。


第26回 クレマチスの会 テーマ
『逆境下を生きていく力が見えてきた!?』


日時 2011年10月8日(土)午後6時30分~8時30分
講師 山崎喜比古氏(やまざき よしひこ)



〈講師プロフィール〉

東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学科健康社会学分野の主任として、15年に亘り多くの研究・教育に邁進される。当事者の思いを大切にし、薬害HIV感染被害者の当事者(患者・家族・遺族)と協同した研究(当事者参加型リサーチ)を行ったり、労働者のストレス研究を長年にわたって手がけるなど、幅広く研究活動を展開。近年では健康生成論とSense of Coherence (SOC)の第一人者として活躍されている。人々を病気にする要因を探すだけではなく、人々の健康を育むものや、生きていく力を探る研究に特に力を注ぐ。

日本保健医療社会学会の前学会長、日本民族衛生学会の幹事や各学会での評議員等、役職多数。現在は、パブリックヘルスリサーチセンター付属ストレス科学研究所特別研究員、日本福祉大学および放送大学の客員教授、国際医療福祉大学の非常勤講師ほか、複数の大学・研究機関にて研究を継続中。

主な著書:「生き方としての健康科学」、「健康の謎を解く」、「健康と医療の社会学」、「薬害HIV感染被害者遺族の生存・生活・人生」等。


                   〈担当より〉

「強制収容所でユダヤ人皆殺しという過酷な経験をした人の中で、心身の健康が不良であった更年期女性が7割いた」という結果に対し、「それは想像できる。しかし、極限的なストレスを経験してもなお、3割もの女性が心身の健康を良好に保っていられるのはなぜか?」というところから始まった研究が健康生成論やSOCの研究です。健康社会学者のアントノフスキー博士が、「心身の健康を守ったり、場合によっては成長の糧にできるような力」をSOCと名付け研究を始めました。

SOC(ストレスに対処する力)が高い人というのは、必ずしもひたむきに頑張る人ではないとのこと。今の自分には無理だと思ったら、逃げたり、人に助けを求めたりと柔軟な対処ができる…。山崎先生はこのSOC研究の深化に尽力され、どうしたらSOCを育むことができるのかという世界でも有数の研究に取り組んでこられました。研究成果を発表していただく中で、新しい発見、あるいはご自身の経験に照らして「やっぱりそういうことだったのか」と納得する機会をもたらしてくださるのではないかと思っています



第27回 クレマチスの会 テーマ

被災時のトラウマケアとグリーフケアについて考える
 ---亡くなった方々との関係性をどのように再構築するか

 日時 2011年12月3日(土)午後6時30分~8時30分
 講師 神 仁氏(臨床仏教研究所上席研究員)


〈講師プロフィール〉

1961年、東京都杉並区に生まれる。大正大学および駒澤大学で仏教学を専攻。文部省文化交流プログラムによってベナレス・ヒンドゥー大学大学院(インド)へ留学。同大学教員などを経て、現在、財団法人全国青少年教化協議会(全青協)主幹、臨床仏教研究所上席研究員。専門は臨床仏教学。

2000年、ぴっぱら国際児童基金を設立し、インドのストリート・チルドレンや非虐待児童の支援を開始する。2003年、全国不登校・ひきこもり対応寺院ネットワーク「てらネットEN(縁)」の設立を呼びかけ、ひきこもり当事者や自死念慮を抱える若者の支援活動を開始する。2008年、臨床仏教研究所の設立に参加し、臨床的な視点に立った宗教や宗教者のあり方について広く提言を行っている。

東日本大震災に際しては、子どもたちのトラウマケアや高齢者の孤独死・自死防止活動に取り組むほか、「福島子ども・妊産婦プロジェクト」を立ち上げ、被災者の全国の寺院への疎開を進めている。

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)理事、一般社団法人サルボダヤJAPAN理事、認定NPO法人チャイルドライン支援センター専門委員、エンゲイジド・ブッディズム研究会世話人などを務める

 主な著書に『不登校問題と寺院活動』(全青協ブックレット)、『仏教教育の実践』(国書刊行会)、『家族の再生』(共著・佼成出版社)、『日本の仏教を知る事典』(共著・東京書籍)、『家族の再生』(共著・佼成出版社)、『なぜ寺院は公益性を問われるのか』(共著・白馬社)、『無縁社会から有縁社会へ』(近刊予定)など。

 

〈講師より〉

 3月11日に起こった未曾有の災害によって、死者・行方不明者併せて2万人もの方々が犠牲となられました。ご遺族の方々の数はその数倍にも及んでいます。この突然訪れた悲嘆に対して、私たち第三者はどのような支援ができるのでしょうか? キーワードは「亡くなった方々との関係性の再構築」にあるのではないかと私は感じています。

 災害時におけるトラウマケアとグリーフケアのあり方について臨床例を交えながら、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。(神 仁)